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双子の姉妹が交換日記的に日常をつづるブログ

【書評】子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!―脳を鍛える10の方法  林成之

こんにちは、さいとうゆかです。

育児書を何冊か読んでいて「なるほど~」「そうか~」と思うものの、「なぜか?どうしてそうするべきなのか?」という根拠の部分があまり説明されていない印象を受けることが何度かありました。
そして最近私が気になるキーワードは『脳』『無意識』『遺伝』『幸せ』なのですが、その育児書に対してのもやもや感と気になるキーワードがバッチリ合致した本を見つけました。それが、『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!―脳を鍛える10の方法 (幻冬舎新書) 』でした。

著者の林成之さんのプロフィール
日本大学医学部卒業、日本大学大学院医学研究科博士課程終了。日本大学医学部付属板橋病院にて、危篤患者に対する救命療法である脳低温療法を開発。日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター部長を勤めた経験がある日本大学総合科学研究科教授。

うわ~、紹介がほとんど漢字の羅列になってしまった…。
つまり、脳に関しての専門家が育児について書いた本というわけです。

3歳から才能を伸ばす、脳を鍛えると聞くと、早期教育や知識学習をイメージしてしまうのですが、この本ではそれをすすめているわけではありません。脳の仕組みをもとに、脳を鍛えるにはどうしたらいいのか脳の機能や発達過程にあわせての脳を鍛える方法を紹介しています。

例えば、
脳は情報を受け取るとまず「A10神経群」と呼ばれる部分で情報に対して「好きだ」「嫌いだ」「興味がある」といったレッテルを貼ります。「好きだ」「興味がある」というプラスのレッテルを貼られた情報に対してはしっかり理解でき、嗜好が深まりやすい。逆に「嫌いだ」といったマイナスのレッテルを貼られた情報は記憶しにくい。
つまり脳の理解力や思考力を引き出すには情報に対して多くプラスのレッテルをはれることが必須! 

本書では「脳の機能」「本能」「心」が三位一体。脳の機能と心は本能を基盤に生まれる。そのため、育脳において大切なのは脳のしくみにもとづき、「脳の本能を磨き」「心を育み」「機能を発達させること」を一体に考えて取り組むことであると説いています。

本能が「心」を生み出している

本能
「行きたい」「知りたい」「仲間になりたい」本能 探究心・競争心・友愛の心
「自己保存」「自我」の本能 自尊心・欲望の心・向上心
「違いを認めて共に生きる」本能 貢献心・他者を愛する心
「統一・一貫性」の本能 クオリア(微妙な差異を判断して好悪を感じる働き)

本能を過剰反応させてはいけない

子どもが「嫌なものは嫌!!とにかく嫌!!!」と強い拒絶反応を示すときは、本能が二つ以上重なって過剰反応している証拠。例えば、怖くて逆上がりに挑戦できないのは「自己保存」「自我」の本能が過剰反応しているため。
過剰反応を取り除くには、
「お母さんも最初は同じように怖かったんだよ」と共感して仲間になる(「仲間になりたい」本能)
「でも、こうやるとうまくいったよ」と伝えて、怖い気持ちを取り除くために、下にマットを敷くなどして大丈夫だと思える環境を作る
「できるようになったらすごいね!」と話しかけて自尊心を刺激(「自我」の本能)
「やってみる?」とたずね、子ども自身に「やってみる!」と言えるよう促す。

ポイントは前向きの本能をうまく働かせ、物事をポジティブに変換すること

この、まず「本能」を意識して「心を育み」「機能を発達させる」というのが私にとって目からウロコでした。今まで読んできた育児書のすすめる育児の方法も、よく考えると前向きの「本能」をうまく働かせたもの中心であることに気づきます。
本書の中にはこの「脳の本能を磨き」「心を育み」「機能を発達させること」を一体に考えて取り組むことを中心に、具体的に脳を鍛える方法、親がどのように子どもに接すればいいのかというヒントが書かれています。

子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まらない

いきなりタイトル否定!ですが、「0歳~3歳」「3歳~7歳」「7歳~10歳以上」医学的な脳の発達過程にあわせて合わせてアプローチが変わってくるという意味で、「ウチの子ども10歳過ぎてしまったからもう無理…」というわけではなく、脳を鍛えることは大人になってからでも可能なのだそう。
タイトルのせいで、一部の親にしか読まれないような気がしますが、内容としては大人になってからでも役に立つものになっています。
脳の仕組みをもとに子どもの才能を伸ばしたいと考えている育児をする人すべてにお薦めできる本です。